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内航船近代化の課題
内航海運の革新は実際の経済の枠組みの中で実現するものであり、上記の条件から考えると、先ず、基本的な目標として「経済的に成り立つ現実的な近代化船」が求められる。そのため、次のように今回の革新の課題を要約できる。
?総合性を持った性能設計が必要で、輸送サービス品質としての定時性を重視して、通常の推進効率とともに、荒天時の運航性能、港内操船性の向上を図る。
?現実のコスト構造へ着目し、生涯採算性を重視して、省力運航の可能性を追求するとともに、初期コストのみでなく、後の保守保全の容易な仕様とする。
?実現するためには構成要素の標準化を推進し、標準化、量産化、工場内製作比率の向上によるコスト削減をはかるとともに、その組み合わせできめ細かく要求仕様を満足させる必要がある。
?省力化が可能な運航システムを実現するために、船橋内はワンマンで運航可能な統合操船システム、MO仕様の機関室、操作が容易な係船システムを搭載する。
?船員問題に対処するために、人間の熟練に過度に依存しないで安全運航可能な操船支援システムを装備するとともに、居住環境の改善を図る。
ここで指摘した課題は(財)シップ・アンド・オーシャン財団により、平成4年度から実施された「内航船の近代化に関する研究」の提言を、より現実的なものとし、建造の方法を含めて具体化しようとするものである。

 

 

 

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